銀歯は2年以内に、その80%が内部虫歯になり始めている!
保険治療で虫歯を削ったあとに被せる銀歯、日本人の多くがこの銀歯をいれていますが、歯科先進国である欧米や米国ではほとんどの人が銀歯ではなく、白いセラミック製のつめ物やかぶせ物を入れています。
それは、「保険治療でつめた銀歯は2年以内にその80%が銀歯の内部で虫歯を再発している」という事実があるからです。銀歯は腐食しやすい金属であり、さらに接着用のセメントが溶け出すことで隙間が生じて銀歯の内部で虫歯が発生したり、さらに金属アレルギーの原因にもなるという報告がされています。
かぶせ物や詰め物の選択肢
近年、科学の進歩により、詰め物、かぶせ物にも種類、選択肢が出てきました。
以前の自費治療はゴールド中心の治療でしたが、ジルコニア、二ケイ酸リチウム(E―MAX)などのセラミックで優れた白く治す方法等が出てきました。
ゴールドは非常に長期予後、適合性に優れていて、素晴らしい素材ですが、見た目が悪いですよね。
セラミックはマイクロスコープ等を用いて、適合の優れた形成を行うことで美しく、白く、長持ちが実現出来るようになりました。
また、奥歯で、隣り合う面が虫歯になると、以前はインレーといって、噛み合う面を大きく削らなくてはいけなかったのですが、接着技術、物性の向上から、大きく削らずに、最低限の切削で樹脂を流して治すという方法も可能になりました。
レジン充填
保険診療で前歯を治す時のスタンダードではないでしょうか。
接着も年々良くなっていますし、臼歯(奥歯)に使えるものも多くなってきましたが、適応症を間違えるとすぐダメになる場合があります。
また、数年経過すると、褐線という、黒い線が出ることがあります。また、同じレジンでも、保険適応外の丈夫で色のバリエーションが豊富な素材もあります。
セラミックインレー(つめ物)
インレーはつめ物を指します。
メタルインレーは金属色が見え、数年後、思わぬタイミングでアレルギーが出るケースも希ですがありますので、セラミックで作ったインレーも現在幅広く行われています。
特に、近年、二ケイ酸リチウム、ジルコニア等、材料の進歩が目覚しく、予知性も高いです。
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術前
銀歯の下が虫歯になっており、さらに色が気になるとお悩みに。
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術中
銀歯を外し、ていねいに虫歯を除去しました。
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術後
セラミックの詰め物をして完了。自然な色で天然歯のようです。
セラミッククラウン(被せもの)
クラウンは被せものを指します。
削った部分が大きな場合は詰めることはできず、削った部分に被せものを入れます。
セラミックの被せものの種類は大きく分けて、ジルコニアクラウンと、メタルボンドクラウンに分かれます。
メタルボンドクラウン
金属の周りに陶材を焼き付けた被せもの
メリット:耐久性が高い
デメリット:金属アレルギーの方には不向き
ジルコニアクラウン
ジルコニアの周りに陶材を焼き付けるものです。
メリット:金属を使用しない
デメリット:メタルボンドに比べ割れやすい
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銀歯のかぶせものを・・・
奥歯の銀歯が目立つことが気になるということでご来院いただきました。
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セラミックの白いかぶせものに
ジルコニアセラミックという人口ダイヤモンドとセラミックを融合した強度の高い被せ物にしました。
セラミックブリッジ
ブリッジとは、歯の無い部分に人工歯を装着するために、その両側の歯にかぶせものを装着し、そのかぶせものと一体で人工歯を装着したものです。つまり、両側の歯を土台にして人工歯を支えるものです。強度が必要なため、当院ではセラミックの土台にジルコニアという高強度のセラミックを使用します。
ラミネートベニア(つけ歯)
ラミネートベニアはつけ爪のようにセラミックでできた薄い歯を表面に接着し、歯の形を変える治療を指します。
歯並びの矯正や、削ることなく、歯の形を変えることができるので、ちょっとした歯の形を変えたい場合にはとても有効な方法です。
メタルインレー、メタルクラウン(銀歯、金歯)
保険診療で臼歯を治す場合のスタンダードではないでしょうか。
日本ではパラジウム含有の銀歯が主に使われています。中国の技工所で作成したものはベリリウムが入っている場合もありますので、当院では、私が信頼を寄せる技工士さんにしっかりしたものを作ってもらっています(中国の技工所でもしっかりしてるところも多いと思いますが)。
ドイツでは、アレルギーの観点からパラジウム合金も保険から外されたという話を聞いたこともありますので、今後、本邦でどうなるかはまだわからないです。
ゴールドは大変生体適合性に優れた素材で、歯にも馴染みがいいので私個人は好きですが、金属代が高騰し、中々オススメしづらいものになりつつあります。
合着と接着の違い ~自費の被せものは高くない?~
セラミックの歯を被せる場合と銀歯などの金属を被せる場合に、被せものと歯の接合の仕方に大きく違いがあります。
実は、銀歯などの保険で治療する金属はしっかり接合されているわけではなく、「はさまっているだけ」で、歯と一体化している訳ではなのです。
金属と歯は接合することができないので、間にセメントを埋めてその摩擦力だけで「はまっているだけ」なのです。
そしてこのセメントは経年劣化によって溶け出す素材ですので、時間とともに隙間ができて金属がはがれてきたり、その隙間から虫歯が発生したりします。
虫歯治療を受けて銀歯を被せたのに、それが原因で新たな虫歯ができてしまうということです。これを2次カリエスと呼び、保険の虫歯治療を受けた多くの方が羅患しています。そのため、歯につめた金属の寿命は平均約7年程度だと言われています。
一方、自費診療の対象であるセラミックの被せものはレジンセメントを介して歯と一体化するため、こういった変化がありません。
このように金属と歯の接合状態のことを『合着』、セラミックと歯の接合状態を『接着』といいます。
つまり、合着には経年変化による剥がれや、虫歯の発生率が高くさらに、金属アレルギーの発症などのリスクも伴うこととなります。
保険で銀歯を入れるとその場では安価な治療費で抑えることはできますが、長期的に見ればセラミックの被せものが決して高いものであるとは言えないでしょう。